元オリーブ少女の知的財産な日々

少年野球や知的財産権や写真や車やバイクなど

マジックとタクシーと車酔い(4)

マジックとタクシーと車酔い(3)からの続き

グラウンドの入り口に、並んで座って練習を見学していると、次々とコーチ、ママさん、選手が入れ替わり立ち替わり声を掛けてくれた。「どうしたの?」「練習前に車で移動したら少し気持ち悪くなっちゃったみたいで...」「でも来週たけのこだよ?今日の練習は休まないほうが良いんじゃないかな?」ほとんど話したことが無かったママさんも声を掛けてくれて。そんなこんなで、一時間ほど見学をしていたところ、去年のマネージャーさんが来て隣に座った。「どうしたの?気持ち悪いの?タクシーに乗ってマジック観に行ったんだ。午前中?え?13時から?それはお母さん無理させ過ぎたわね。でもマジック係だから、お母さんもマジック観させてあげたかったのね。いつも頑張ってるんだから、体調悪いときはお休みしても良いのよ。私、どれだけ頑張ってるか、よーく知ってるよ。この前公園でキャッチボールしてるの見て、びっくりしちゃったんだから。あらイヤだ。涙が出てきちゃったわ。」...ここでもう私自身涙が止まらず...。今日はコーチにごあいさつして、おうちに帰りなさい。と促され、二人で帰宅した。
私は、息子に無理させ過ぎてしまったという後悔の気持ちと、練習時間に間に合うように帰って来たのという虚しさで、帰宅しても無言になってしまった。

夜になり、夫が帰宅した。カレーを食べていたら、息子が恐れているコーチから夫に電話が掛かってきた。とにかく反省してると謝っていたと。ヘッドコーチからは、どういう気持ちで息子に対して叱咤したのかは置いておいても、息子がコーチが怖いという気持ちになってしまったのだったら、自分が悪いと言われた。ほんとすんませんとひたすら謝っていたと...。
その後、ヘッドコーチからも夫に電話が掛かってきて、こう言われたらしい。「大丈夫?チームのことをどう思おうがどうでも良いんだけれど、野球を嫌いになったりしてないかが心配で。球団として出来ることがあれば言って。」と。
それを聞いた私は、自分達家族は漫画の中の世界に生きる人間になってしまったんだと確信した。
夫が両コーチに対し、どういう回答をしてくれたのかは分からない。

数日後、息子と神社にお参りに行った。何をお願いしたのか尋ねたら「たけのこMVP」とのことだった。「まずはね。」とはにかんでいた。